社員の給与を一定の基準以上に増加させると法人税の控除が受けられます、という制度です。法人税の控除が受けられるということは、中小企業では法人税額を基に都道府県民税や市町村民税を計算しますので、一粒で二度美味しい税制といえます。
経済産業省ウェブサイト
パンフレット「所得拡大促進税制ご利用ガイドブック」(平成29年4月以降事業年度)(PDF)
青色申告をしている法人・個人事業主が、次の要件をすべてクリアすると、雇用者の給与が増えた分の10%(中小企業は20%)が法人税(所得税)から控除されます。
※助成金や出向元から給与負担がある場合は、その分を控除して計算してください。
1.今年度の給与総額が基準年度の給与総額より一定割合増えていること。
2.今年度の給与総額が前年度の給与総額を上回っていること。
3.今年度の一般社員の平均給与が、前年度の一般社員の平均給与より多いこと。
1について
一定割合とは、平成29年度の場合は基準年度より5%(中小は3%)増えていることをいいます。
基準年度とは、平成25年4月1日以後に開始する最も古い事業年度の一つ前の事業年度です。正直何を言っているかわからないので、ざっくり言い換えると、「平成25年3月31日の含まれる事業年度」のことです。
なお、新設法人など基準年度がない事業者さまは、有利な判定方法になっていますので、この制度を受けられる可能性は高まります。
ちなみに、なぜ29年度より前の割合を省いているかというと、この制度はさかのぼって申告(更正の請求)できないためです。
2について
前年度より今年度の給与総額が、1円でも上回っていればOKです。ただし、役員、役員の特殊関係者、使用人兼務役員は除きます。使用人兼務役員は使用人部分の給与も除きます。
3について
一人あたりの平均給与が、前年比を上回っていること(大企業は前年比2%以上)。
平均する人は、前年度も今年度も給与が支払われていた一般被保険者です。
つまり、
などの方々は除外して平均給与を算出します。除外するといっても申告書には給与総額や5の方は別記しますので集計はしましょう。
算出する過程で、賞与は基本的に金額だけを含めて延べ人数には含めないようにしましょう。
また、1~5を除外するのは平均給与を計算するときだけなので、増加割合や総額比較では除外しないようにしましょう。
ギリギリ要件を満たさない場合でも、
賃金台帳に記載された支給額(所得税法課税されない通勤手当等の額を含む。)のみを対象として計算する等、合理的な方法により継続して雇用者給与等支給額の計算をしている場合は、給与等に含めることが認められる
(措法10の5の4②二、42の12の4②二、所得税法28①)
とのことですので、通勤手当を含めたケースで計算したらどうなるかも検討してみるのもいいかもしれません。
ご精読ありがとうございました。