2019年12月16日

社会保険料を削減する前に確認すること③

 前回で、どれくらいの保険料と税金に変動があるかを見てみました。

 これを踏まえて実際に着手するにあたって考えるべきことは大体下記の項目になります。

 

①年金事務所

 日本年金機構から2018年10月に報酬・賞与についての区分明確化についてのお達しが出ており、2019年1月から適用されています。

 https://www.nenkin.go.jp/oshirase/topics/2018/20181023.html

 ゆがんだ賞与の支払い方については是正していきますよ、ということですね。既に役員給与・賞与の支払いルールがあるのであれば、どうしてこのような支給の仕方に変更するのかを明確化する必要があるかと思います。

 

②税務署

 役員賞与を支給するということは、会社の損金にならなければ意味をなさないといっても過言ではありません。社員と同じ時期に支給することも要素の一つであることから、年1回支給は難しいでしょうから、年2回が現実的でしょう。とすると、半期990万円が妥当かどうかの理由付けも考えておかないとなりません。ここが否認されると社会保険削減以上に法人税等の打撃を受けることになります。

 

③資金繰り

 半期に賞与を支給すると仮定すると、変更する時期をいつにするかが問題になります。通常、事前確定届出給与の提出が決算後3カ月目でしょうから、3月決算でしたら、6月から変更して7月に賞与という流れでしょうか。開始してからすぐ賞与支給であればまだいいのですが、賞与まで空きがあると補填をしないと辛そうです。会社から資金を借り入れて最初の賞与で精算、ということもあるでしょうが借りっぱなしにならないように気を付けなければなりません。

 なお、半期990万円の賞与の場合、保険料は約94万円、源泉所得税は約194万円になり手取りは約700万円になります。

 

④傷病手当金

 本人に万が一の事態が発生したときに受給できる健康保険の傷病手当金。この支給額を決定する根拠になるのが過去12か月の標準報酬月額の平均になるため、月額を変更すると当然この手当に影響することになります。民間の生命保険をムダだと思ってやめたとたんに病気になるというのはよくある法則だったりします(根拠なし)。

 

⑤遺族年金

 右の画像は、給与変更前と変更後(前回の保険料比較に用いたもの)で、仮に厚生年金加入当初からかけ続けて25年経過前に妻と子供一人を残して死亡した場合に、遺族年金受給額にどれくらいの差が発生するかを計算したものです。

 極端な例なので、あくまで参考にしてもらえれば幸いです。だいたい1年経過するごとに受給差は年3万円ずつ縮まっていきます。

 変更前の状態で死亡すると、細かい条件は省きますが、原則子供が18歳になるまでは約200万円の年金が家族に支給され、その後は65歳まで約160万円支給されます(非課税)。

 変更前との差は年間約80万円になります。

 実際は、死亡保険金等の収入があることも予想されますが、定期的に一定額が税金を控除されずに入ってくることが、ご遺族にとってどれだけ助かることになるかは言うまでもありません。

 社会保険削減前に確認することで、私が思いつくことは以上です。

 私は、⑤が一番気になるので自分自身ではやらないでしょう。

 とはいえ、メリットデメリットを受け入れた上で削減しようとしている方々もいらっしゃるでしょう。その方々も、まずは一度各専門家に確認いただきしっかりとした計画を立てていただければと思います。実行後、少し忘れた頃に役所はやってきますので。

 

 以上、ご精読ありがとうございました。