社会保険料の削減をする前に確認すること①

 今回は、法人の社会保険料を削減する前に確認することをお話ししてみようと思います。(最初に申し上げておきますが、私は削減については慎重派です。)

 

 ご存じの通り、法人の社会保険料とは健康保険料と厚生年金保険料を合わせたもので、毎月の給与から約15%控除され、おおよそ同じ額を会社が負担します。その保険料の負担に対して、本人及びその家族の病気、老齢、障害、死亡等に対して必要な保険給付が行われます。

 国民健康保険や国民年金に比べて給付が手厚いため、雇われている側にとっては非常に助かる制度ですが、その反面、保険料の半分を会社が負担するため、万年黒字の会社はまだいいのですが、赤字の会社には安くはない保険料負担が重くのしかかってきます。

 

 社会全体で保険料を負担してみんなで社会保障を支えていこう、という理念は分かってはいるものの、現役世代にとっては年々上がっていく保険料を負担していくのに不満はあるでしょう。

  実際、若者にとっての健康保険料は、ほとんど病院にかからないため掛け捨ての要素が強く、また、厚生年金保険料は、将来の自分達が受給するためのものとはいうものの、今現在支払っている保険料は今の年金受給者に支払われているものなので(賦課方式といいます)、将来的に今負担しているものが、そのまま受給につながるという保証も揺らいでいる現状では、可能であれば払いたくないと考える人がいるのも当然ともいえるのではないでしょうか。

 とはいうものの、サラリーマンは、不安ではあっても、給与をもらっている限りはそれに比例した保険料が機械的に控除されるだけなので抗うことはできません。

 

 しかしながら、経営者はどうでしょう。

 経営者は、自分を含めた社内の給与を決定する立場にあります。そのため、保険料の計算方法を工夫して負担を軽減できないかを考える人もいるでしょう。

 

 左の画像は、東京都の平成31年4月分からの健康保険、厚生年金の保険料額表です。

 注目すべきは、下部の「賞与にかかる保険料額」です。

 

 「標準賞与額の上限は、健康保険は年間573万円(毎年4月1日から翌年3月31日までの累計額。)となり、厚生年金保険と子ども・子育て拠出金の場合は月間150万円となります。」

 

 そう、賞与にかかる保険料には上限があるのです。特に、厚生年金保険の上限は健康保険料に比べて低く設定されています。

 つまり、保険料算定の上限を超える賞与を支払えば、負担が一定額で済むということです。

 

 例えば、役員報酬が月額25万円で年額300万円の40歳以上役員の社会保険料は、会社負担合わせて年額約93万円です。

 これを、役員報酬を月額5万円、役員賞与を年1回240万円の計300万円にすると、その負担は年額約83万円になります。約10万円の削減(本人分5万円)ですね。月額換算ですと約8千円です。

 

 この例だけをみると、こんなに簡単にできるなら早速やろう!と飛び付いてしまいそうです。

 しかし、社労士も税理士もあまりお薦めはしていません。それはなぜか。単なる不勉強なのでしょうか?

 次回以降で、安易に勧めていない理由を考えてみたいと思います。

 →『社会保険料の削減をする前に確認すること②』

 

 以上、ご精読ありがとうございました。