大入り袋とは何だろう

 算定基礎届の提出時期になると、日本年金機構が作成しているガイドブックなどをご覧になる機会があると思います。毎月の保険料を計算するときに用いるものを標準報酬月額といい、標準報酬月額を決めるもととなるものが、「報酬」です。

 報酬とは、その名称を問わず、労働者が労働の対償として受けるものをいいます。金銭(通貨)に限らず、現物で支給される食事や住宅、通勤定期券も報酬に含まれます。臨時に受けるものは報酬の対象となりません。

 

 毎月の保険料が高ければ高いほど、傷病手当金などの給付額が多くなったり、将来の厚生年金の受給額が多くなったりと、未来に向けての備えにはなるのですが、若者たちにとっては今の生活があってこその未来と考える人もいるでしょう。ましてや年金制度は基本的に賦課方式で、高い保険料は今の年金受給者のために支払っているものなので尚更です。

 同時に、事業主にとっても被保険者とほぼ同額の保険料負担がのしかかりますから、事業を行う上では死活問題になりかねません。

 

 よって、事業主としては、臨時に受けるものを多くすれば保険料が削減できるのではないかと考えます。そこで目に付くのが「報酬とならないもの→臨時的、一時的に受けるもの→大入袋」です。

 

 

 では、大入袋とは何なのでしょうか。

 参考:Wikipedia『大入袋』

 

 ・・・5円玉や50円、100円玉などを入れるのが一般的と、保険料を削減する側にとっては残念な解説です。それでも、これはあくまで大相撲や歌舞伎の話であって、世間では臨時収入などで会社の業績が一時的に上がった見返りで支給することはよくあることだとの意見もあります。これに関しては、日本年金機構の疑義照会という参考になるものがありました。

 

 参考:日本年金機構『主な疑義照会と回答について~厚生年金保険 適用~10ページ』

 

 

  照会内容としては、下記の条件で支給する大入袋は標準報酬月額に含めますかというものです。

 ・大入袋1万円支給

 ・給与支払における社内規定なし

 ・賃金台帳記載あり

 

 この疑義に対する厚生労働省の回答は、下記の通りです。

 

 ご照会の事例においては、大入袋の支給原因、条件等が不明なため、臨時的であるかの判断ができず、報酬かどうかの一律な判断はできません。仮に臨時的であれば、金額の大小に関係なく、報酬としない取扱いが妥当となります。臨時的かどうかの判断は、支給事由の発生、原因が不確定なものであり、極めて狭義に解するものとすることとされていますので、例年支給されていないか、支払われる時期が決まっていないかで判断してください。次に、臨時的でないとすれば、報酬又は賞与となるのか判断することになりますが、前述したように事業主が恩恵的に支給するものは報酬又は賞与から除かれます。恩恵的かどうかの判断は、社会通念上での判断となりますが、ご照会の事例は(大入袋に関しては)、賃金台帳に記載があること、金額が 1 万円であること、これに加え、支給事由が業績達成や営業成績に連動しているものであれば、本来の大入袋のもつ性質とは異にし、恩恵的ではないと判断するのが妥当となります。

 

 

 臨時的なもので、元々いくら支給するなどの取り決めがなく、成績などには関係なしに全員に配り、かつ賃金台帳に記載をしない、恩恵的なものであれば、報酬には算入しなくていいということでしょうか。金額の大小に関係なくとあるので、臨時的というのが重要な要素になると思われます。

 したがって、計画的に支給して標準報酬月額を下げるというのは困難ですが、臨時的に支給する大入袋は、社会通念上相当と認められる範囲内での支給であれば金額に関わらず報酬に該当しないと当事務所は結論付けました。

 

 ただし、この大入袋が保険料の報酬に該当しなかったとしても、所得税や住民税は課税されますのでご注意下さい。

(経営者のポケットマネーで支給すれば保険料と税金は課税されないと思いますが、経営者自身の決断が難しいところです。)

 

 

 以上、ご精読ありがとうございました。